空き家問題の解決策-賃貸活用について

空き家を解体・売却せずに活用するには、建物をそのまま活かし賃貸として貸し出し家賃収入を得る選択肢があります。今後も空き家(土地+建物)を所有してゆくためには最低でも固定資産税の支払いに充てられるだけの家賃収入を得たいところです。 ここでは空き家の賃貸活用について考えてみたいと思います。

空き家問題とその背景~空き家が増えている理由

賃貸として活用する際の問題点

まず空き家を賃貸として活用する場合に大きな問題点となるのが、建物の築年数の古さ。70年代~80年代初期に建てられた古い一軒家では、その多くが木造建築であり柱や梁、基礎など建物の根幹となる部分が経年によって劣化し、住居として利用、特に賃貸物件として貸し出すには、何がしか手を加えなければ心許ない場合が多いです。また、間取りや内装や水回りなども、借りる側からみれば重要事項です。

この場合に考えられる工事には以下の二つがあります。

  1. ①新耐震基準適合工事
  2. ②リフォーム・リノベーション工事(間取り、内装、外装、水回りなど)

①新耐震基準適合工事

まずは1995年の阪神・淡路大震災において、2011年の東日本大震災でももう一度その重要性が再認識された建物の耐震性。現在の不動産業界では1981年施行の新耐震基準に適合している建物であるかどうかが、物件の価値(賃貸としてなら需要)を考える上での大きなチェックポイントとなっています。空き家の賃貸活用に限らず、耐震基準については地震大国とも言われる日本では避けて通れない部分です。

1981年以前に建てられた物件であれば、新耐震基準に適用した建物ではないわけですが、築年数の古い建物であっても、補強工事を行うことで新耐震基準適合証明証を取得することができます。補強工事を行った場合の工事費用の平均はおよそ150万円前後。建物の状態や構造などによって、必要となる工事に違いがあるほか、比較的安価な工事でも耐震強化には効果がある場合もあります。

②リフォーム・リノベーション工事(間取り、内装、外装、水回りなど)

そしてもうひとつ。間取りや内装、外装なども、賃貸として貸し出すには借り手のニーズにある程度合致している必要があります。古い建物ではひとつひとつの部屋が小さく、部屋数が多いタイプの間取りであることが比較的多いですが、現在では細かく間取りを区切らず、大きなスペース(部屋)とするような間取りとするほうが、用途を限定しないため人気が高いです。

古い建物では水回りも劣化しているケースが多く、特に空き家として放置していた期間が長いと、予想以上に傷みが進行している場合があります。使っているとそれほど痛まないゴム製のパッキンなども著しく劣化してしまうケースが多くあります。

リフォーム・リノベーション工事もまた、必要となる工事はさまざまなので平均額を出すのは難しいところですが、ざっくりと小さく見積もっても50万円~100万円程度は必要と考えられます。

地方自治体による工事費の助成・補助制度

さて、空き家を賃貸として活用するためには、上記のような工事を行った上で貸し出すことが理想的ですが、この二つの工事費用の合計は200万円~250万円。個人で所有する空き家に対しての工事費用としては、そう簡単に用意できる金額とはいえません。

現在のところ、国土交通省による空き家推進事業において、除去事業(解体工事)については対象となる空き家に制限も少なく助成制度があるものの、活用事業(改修工事)については、「地域コミュニティ維持・再生の用途に10年以上活用されるものに限る」という制限があるため、個人所有の空き家を賃貸活用する場合では、実質的に、助成・補助は期待できないのが現状です。

地方自治体による助成・補助制度が地域によって用意されている場合もあり、このあたりはそれぞれの自治体で確認してみる価値はあります。自治体が運営する「空き家バンク」への登録が必要となる場合もあります。

あくまでも自治体での助成・補助なので、大きな金額は期待できません。地域によってさまざまで、最大で工事費の2分の1までの助成がある自治体もありますが、上限が10万円~50万円前後に設定されている場合が多いようです。

こういった点では、空き家の解体工事だけでなく、活用についても国土交通省による助成・補助制度の拡大を期待したいところです。

賃貸活用の別の方向性を考えてみる

上記のように、個人所有者がしっかりとした工事を行った上で貸し出すことは、工事費用という高いハードルがあるため、実際問題として現実的ではありません。

別の方向性として考えられるのは、個人の金銭的負担を極力少なく賃貸活用する方法。実際に期待できそうな選択肢は以下の二つでしょうか。

  1. A.修繕工事を借り主負担とし賃料を安く設定
  2. B.収益化を斡旋・仲介するサービスの充実

A.修繕工事を借り主負担とし賃料を安く設定

上で挙げたような経費のかかる工事を、貸主が一切行わないかわりに、賃料を安くして貸し出すという方法です。ここで問題となるのは、安くした賃料で固定資産税をペイできるかどうかが重要なポイントとなります。

交通の便がそれほど悪くないエリアの物件であれば、それほど賃料を低く設定しなくても借り手が見つかる可能性が高いですから、都市部の空き家であれば選択肢にもなりやすい方法かもしれません。

ちなみに国土交通省では、リフォームなどに対しての助成・補助には積極的ではありませんが、こういった借り主がDIYによる修繕を行う、借り主負担型の賃貸借契約の指針を公表しています。

参考リンク:
「個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会」の最終報告について
~「借主負担DIYの賃貸借」と「適切な空き家管理」の指針~
http://www.mlit.go.jp/report/press/house03_hh_000091.html

収益化を斡旋・仲介するサービスの充実

各自治体における賃貸物件の斡旋・仲介サービスは既述したとおりですが、民間による斡旋・仲介サービスの充実にも期待したいところです。もちろん補助金や助成金のような形は望めませんが、初期費用ゼロでも改修・リフォーム工事費用を民間業者が負担して、家賃収入が発生した時点から返済に充てるなどで、空き家の収益化を所有者に負担なく行えるサービス。

この場合、空室で家賃が発生しない期間をつくらないことがポイントとなってきますから、入居者と貸主の仲介も重要な業務となってきます。また当然ながら民間業者にも収益がなければ事業として成立しません。そのためには大規模な工事が必要となり、業者が負担する工事費用は所有者の借り入れとなるため、保証業務も必要になってきます。これは入居者に対しての家賃保証にも言えることです。

投資費用が大きくなることから、貸主のリスクも大きくなりますが、こういった複数の要素を上手にコンサルティングできる業者によるサービスが充実すると、空き家の賃貸活用ももう少し道が開けるのではないかと思われます。